運動の秋に始める腸活|続けやすい動き方

運動の秋に始める腸活|続けやすい動き方

暑さがやわらぎ、外を歩くのが心地よい季節になりました。

腸活というと「何を食べるか」に目が向きがちですが、体を動かす習慣も、腸活の話題でよく挙げられる要素のひとつです。

運動と腸内細菌の関係を調べたヒトの研究も報告されています。

ただし、運動と腸内環境について研究でわかっていることは、まだ限られた範囲にとどまります。

この記事では、腸活に運動が挙げられる理由、研究で報告されていること、秋に始めやすい動き方、あわせて見直したい食事を順に整理します。

 

腸活に運動が挙げられる理由

運動と腸の関係は、大きく「腸の動き」「排便に使う筋肉」「腸内細菌」の3つの面から語られます。まずは前の2つから見ていきます。

体を動かすと腸の動きにも刺激が伝わる

食べたものは、腸の壁が波のように縮んだりゆるんだりする「ぜん動運動」によって、少しずつ先へ送られていきます。

便秘の原因のひとつとして「運動不足」が挙げられることがあり、国立がん研究センター東病院の患者向け資料でも、便秘があるときの生活の工夫として、散歩や運動を定期的に行うことが挙げられています。

ただし、「何分歩けば腸の動きがどれだけ変わる」という関係がはっきり示されているわけではありません。

運動は、腸の動きを支える生活習慣のひとつとして捉えておくのが現実的です。

お腹まわりの筋肉と排便の関係

便を外に出すときには、お腹に力を入れて圧をかける動きも使われます。

このとき働くのが、腹筋をはじめとするお腹まわりの筋肉や横隔膜、骨盤の底を支える筋肉です。

一方で、「腹筋運動をすれば便通がよくなる」と言い切れるほどの研究はそろっていません。

強い筋トレを頑張るより、日常の中でお腹まわりを使う機会を減らさないことを意識するとよいでしょう。

食事だけの腸活で足りないもの

食物繊維や発酵食品を意識した食事は、腸活の基本です。

ただし、食事が整えるのは「腸に届く材料」であり、体を動かす習慣の代わりにはなりません。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人に対して、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上に相当)行うことが推奨されています。

「何を食べるか」と「どれだけ動くか」は、別々に見直す必要があるということです。

なお、このガイドの推奨は生活習慣病の予防などを目的とした目安で、腸内環境のために定められた数字ではありません。

 

運動と腸内細菌、研究でわかっていること

運動が腸内細菌そのものに関わるかどうかも研究されています。代表的なヒトの研究と、読み方の注意点を紹介します。

運動習慣と腸内細菌の関係を調べたヒトの研究

米国イリノイ大学の研究グループによる研究(2018年に学術誌に掲載)では、ふだん運動習慣のない成人32人(やせ型18人、肥満の人14人)が、6週間の持久系の運動プログラムに参加しました。

運動は週3回で、時間や強さを段階的に上げていく内容です。

便を採る前の3日間は食事をそろえたうえで、腸内細菌が調べられました。

その結果、腸内細菌の構成に変化がみられ、その変わり方は体型によって異なりました。

また、便中の短鎖脂肪酸(腸内細菌がつくる代謝物)は、やせ型の人では増えた一方、肥満の人では増えませんでした。

ただし、参加者は32人と少なく、期間も6週間です。

「運動をすれば腸内環境が整う」と一般化できる結果ではない点に注意が必要です。

運動をやめると元に戻ったという報告もある

同じ研究では、運動期間のあと、参加者はもとの運動しない生活に6週間戻り、その後にも腸内細菌が調べられました。

すると、運動で見られた腸内細菌の変化は、運動をやめるとおおむね元に戻ったと報告されています。

研究グループは、運動による変化は運動を続けることが前提になると結論づけています。

ただし、どのくらいの頻度や強さで続ければよいかは、この研究からはわかりません。

激しすぎる運動とお腹の不調

運動は、多ければ多いほどよいというものではありません。

2014年のスポーツ医学分野のレビュー(複数の研究をまとめた論文)では、運動中の胃腸の不調は特に持久系の競技者に多く、研究によって30〜50%の選手が経験していると整理されています。

要因のひとつとして、激しい運動中、特に体の水分が不足しているときに、腸への血流が減ることが挙げられています。

腸活を目的とするなら、苦しくなるほどの運動を無理に続ける必要はありません。

運動中や運動後に、腹痛や下痢、血便などが続く場合は、自己判断せず医療機関に相談しましょう。

 

腸活として取り入れやすい運動

いずれも腸への効果を約束するものではなく、「体を動かす習慣」をつくるための選択肢として考えてください。

ウォーキング|気温が下がる秋は歩きやすい季節

身体活動・運動ガイド2023では、60分の歩行はおよそ6,000歩にあたると説明されています。

夏の暑さがやわらぐ秋は、日中でも歩きやすい季節です。

ひと駅分歩くなど、生活の中で歩く時間を少しずつ増やすところから始めてみましょう。

ガイドでも、今よりも少しでも多く体を動かすことが基本の考え方として示されています。

日が短くなるので、夕方以降は反射材など安全面にも気を配りましょう。

お腹まわりを伸ばす・ひねるストレッチ

デスクワークが続くと、お腹まわりや背中が縮こまった姿勢になりがちです。

座りっぱなしの時間を区切る意味でも、ときどき体を伸ばしたりひねったりしてみましょう。

  • 両手を組んで頭の上に伸ばし、体の側面をゆっくり左右に倒す
  • いすに座ったまま背すじを伸ばし、上半身をゆっくり左右にひねる
  • 仰向けで両ひざを立て、ひざをそろえたまま左右にゆっくり倒す

ヨガのねじりのポーズなどにも、同じように体をひねる動きがあります。

反動をつけず、呼吸を止めずに行うのがポイントです。

ストレッチそのものが腸内細菌を変えたというヒトの研究は、本記事の執筆にあたって確認できませんでした。

座りっぱなしを減らすきっかけくらいの位置づけで、気軽に続けるのがよいでしょう。

ストレッチのあとに、お腹をやさしくマッサージするのもひとつの方法です。国立がん研究センター中央病院の患者向け資料では、便秘があるときの工夫として、おへその周りを時計回りに「の」の字を書くようにゆっくりマッサージする方法が紹介されています。

入浴後や寝る前など、体の力が抜けているときに、お腹まわりを動かす習慣として試してみてください。お腹に痛みがあるときは無理に行わないようにしましょう。

寝る前や座ったままできる腹式呼吸

腹式呼吸は、鼻からゆっくり息を吸ってお腹をふくらませ、口から長く吐きながらお腹をへこませていく呼吸法です。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、寝つきを助ける可能性があるリラクゼーション法のひとつとして、腹式呼吸が挙げられています。

ただし同じガイドには、すべての人に効果が保証されたリラクゼーション法はない、とも書かれています。

MSDマニュアル家庭版では、体を回復させる役割をもつ副交感神経が消化管を刺激して消化や排泄を促し、緊急時に働く交感神経は消化などの機能を鈍らせると説明されています。

腹式呼吸が腸の動きや腸内細菌に直接どう関わるかを確かめたヒトの研究も、本記事の執筆にあたって確認できませんでした。

一日の終わりに体の力を抜く習慣として、心地よく続けられる範囲で取り入れてみてください。

頻度と強さの目安|「続けられる量」から考える

強さよりも「続けられるかどうか」を優先したいところです。身体活動・運動ガイド2023の成人向けの目安は次のとおりです。

  • 歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上
  • 息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上
  • 筋力トレーニングを週2〜3日

同じガイドでは、個人差をふまえて強度や量を調整し、可能なものから取り組むことも示されています。

まずは「今より10分多く歩く」など、続けられる量から始めるのが現実的です。

持病がある人や、医師から運動を制限されている人は、始める前に主治医に相談しましょう。

 

運動とあわせて見直したい食事

運動とあわせて、水分と腸内細菌のエサになる成分も見直しておきましょう。

汗をかいた日の水分補給

秋は過ごしやすい日が増えますが、体を動かせば汗をかきます。

先ほどのレビューでも、水分が不足した状態での激しい運動は、胃腸の不調の要因のひとつとして挙げられていました。

のどが渇いてから一気に飲むより、運動の前・途中・後に、こまめに水分をとることを意識しましょう。

便のやわらかさには水分も関わっていますが、多くとるほど便通がよくなる、と単純に言えるわけではありません。

心臓や腎臓の病気などで水分を制限されている人は、医師の指示を優先してください。

腸内細菌のエサになる食物繊維とオリゴ糖

腸内細菌の多くは大腸にすんでいて、消化しきれずに大腸まで届いた成分をエサとして利用しています。

その代表が食物繊維や一部のオリゴ糖で、腸内細菌がこれらを発酵させると、酢酸や酪酸などの短鎖脂肪酸がつくられます。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、食物繊維の目標量を18〜64歳の男性で1日20〜22g以上(年齢区分により異なる)、女性で1日18g以上としています。

一方、同じ資料では、日本人成人の摂取量の中央値は1日13.3g(平成30・令和元年国民健康・栄養調査にもとづく値)とされ、目標量との間には差があります。

野菜、きのこ、豆類、いも類、大麦などを組み合わせ、種類を増やしながら少しずつ底上げしていくことを意識しましょう。

詳しくは、プレバイオティクスを含む食品一覧と効果的な摂り方も参考にしてください。

かさを増やさずに「菌のエサ」を足すという発想

文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」によると、生のキャベツの食物繊維は100gあたり1.8gです。

野菜だけで不足分を補おうとすると、食べる量(かさ)はかなり増えてしまいます。

そこで考えたいのが、主食や副菜を見直しつつ、少量でとれる「菌のエサ」を足すという発想です。

オリゴ糖の中には、人の消化酵素で分解されにくく、大腸まで届いて腸内細菌に利用されるものがあります。

ただし食事摂取基準では、通常の食品に含まれる食物繊維と同じ健康上の利益を、サプリメント等で摂った場合にも期待できる保証はない、と述べられています。

あくまで食事の土台を整えたうえで、「足りない分を補う」位置づけで考えましょう。

少量から続けやすい高純度1-ケストース

少量から取り入れやすい「菌のエサ」のひとつが、1-ケストースです。

1-ケストースは、ショ糖(砂糖の主成分)に果糖が1つ結合した三糖で、フラクトオリゴ糖の中で最も鎖が短い成分です。

人の消化酵素では分解されにくく、大腸まで届いて一部の腸内細菌に利用されることから、プレバイオティクスとして研究されています。

ケストースラボで扱うケストースは純度99%以上の結晶タイプで、1包3gの粉末です。甘さは砂糖の約30%と控えめで、水やヨーグルトなどに溶かして取り入れられます。

健康な成人40人を対象に、プラセボ(有効成分を含まない粉末)と比べた4週間の試験(2025年発表)では、1-ケストースとイヌリン(別の種類の食物繊維)を組み合わせて摂ったグループで、ビフィズス菌の一部の種類が増えたことが報告されています。

ただし、これは1-ケストース単独ではなく、イヌリンとの組み合わせで調べた試験で、増え方には個人差もみられました。運動と組み合わせた場合を調べた研究でもありません。

一度に多く摂るとお腹が張ることがあるため、商品ページでは、お腹が敏感な人は半量(1.5g)から始めることが案内されています。

詳しくは、専門家が解説|ケストースとは?研究が進むオリゴ糖の基礎知識も参考にしてください。

 

まとめ|運動の秋は「動く」と「食べる」の両面で腸活を

運動は、腸の動きや排便に使う筋肉、腸内細菌との関係から、腸活の話題でよく取り上げられます。

ヒトの研究では、6週間の運動で腸内細菌に変化がみられた一方、運動をやめるとおおむね元に戻ったことも報告されています。

ただし、研究の規模や期間はまだ限られており、「運動をすれば腸内環境が整う」と言い切れる段階ではありません。

  • 運動と腸内細菌の関係を示したヒトの研究はあるが、人数や期間は限られる
  • 変化を保つには、運動を続けることが前提になるとされる
  • ウォーキングやストレッチなど、続けられる運動から始める
  • 水分と「菌のエサ」になる食物繊維・オリゴ糖もあわせて見直す

歩く時間を少し増やし、食事の中身を少し見直す。秋は、その一歩を踏み出しやすい季節です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の運動や食品、1-ケストースによる便通や腸内環境への効果を保証するものではありません。腹痛や便通の異常が続く場合、血便がある場合は医療機関にご相談ください。

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