男性の腸活|続けやすいやり方と食事の見直し方

男性の腸活|続けやすいやり方と食事の見直し方

「便秘ではないから、自分に腸活は必要ない」「筋トレをしてタンパク質も十分に摂っているから、食生活には問題がない」と考えている男性もいるかもしれません。

しかし、おなかの状態は便秘だけで判断できるものではなく、下痢、軟便、残便感、おなかの張り、便の形の変化なども、日々の体調を振り返る手がかりになります。

実際、便秘は若い年代では女性に多いものの、年齢とともに男性でも増え、70代後半では男性の有訴者率が女性を上回るというデータも紹介されています。

また、男性では外食や飲酒が続いたり、仕事のストレスで食事時間が不規則になったり、筋トレを意識するあまり肉やプロテインに食事が偏り、野菜や豆類などが不足したりするケースも考えられます。

男性の腸活で大切なのは、女性とまったく違う特別な方法を始めることではありません。

自分の食生活や便の状態を確認し、不足している「菌のエサ」を補いながら、無理なく続けられる方法を選ぶことが基本です。

この記事では、男性にみられるおなかの悩みから、外食・飲酒・ストレスとの関係、タンパク質に偏った食生活の見直し方、プレバイオティクスとして研究されている1-ケストースまで詳しく解説します。

男性の腸活、女性と同じでいい?

腸活の基本に、男性と女性でまったく別の方法があるわけではありません。

性別を問わず、食事、運動、睡眠、排便習慣などを見直し、腸内環境を意識した生活を続けることが基本になります。

一方で、生活習慣やおなかの悩みには男女で異なる傾向がみられる場合があります。

そのため男性の腸活では、「ヨーグルトを食べればよい」と一律に考えるより、自分が普段何を食べ、どのような便が出ているのかを振り返ることから始めるとよいでしょう。

東洋経済オンラインのインタビューでも、日々の便を観察し、食事と便の変化を自分自身で把握する重要性が紹介されています。


男性に多いおなかの不調の傾向

便秘というと女性の悩みという印象があるかもしれません。

実際、若年から中年では女性の便秘が多い傾向がありますが、高齢になるにつれて男性でも便秘に悩む人が増えていきます。

一方、下痢や軟便を繰り返す男性も少なくありません。

日本の10,000人を対象にRome III基準で調査した研究では、IBS(過敏性腸症候群)は全体では女性に多かったものの、下痢型IBS(IBS-D)は男性のIBS該当者で多くみられたことが報告されています。

男性のおなかの悩みとしては、次のような状態も確認してみましょう。

  • 朝になると急に便意が強くなる
  • 緊張すると下痢をしやすい
  • 軟便と普通便を繰り返す
  • 排便後もすっきりしない
  • 数日便が出ないことがある
  • おなかの張りやガスが気になる
  • 外食や飲酒の翌日に便の状態が変わりやすい

便の状態を確認するときには、便を1〜7の形状に分類するブリストル便形状スケールも参考になります。

一般にはタイプ3〜5程度が普通便に近い状態とされ、自分の便を日々観察することは体調管理のひとつになります。

ただし、便秘や下痢が長く続く場合や、血便、強い腹痛、発熱、原因不明の体重減少などがある場合は、腸活だけで様子を見続けないようにしましょう。

詳しくは「IBS(過敏性腸症候群)とは」も参考にしてください。


飲酒・外食・ストレスと腸内環境

仕事帰りの飲酒、昼食は外食、夕食はコンビニという生活が続いている男性もいるでしょう。

外食そのものが悪いわけではありませんが、選ぶメニューによっては野菜、豆類、海藻、きのこなどが不足し、脂質や塩分に偏りやすくなることがあります。

外食やコンビニ利用時でも、海藻サラダ、ごぼうを使った惣菜、具だくさんの汁物などを選択すればバランスを取ることができます。

また、飲酒習慣がある場合は、アルコールそのものだけでなく、夜遅い食事や睡眠への影響にも注意したいところです。

就寝前の飲酒は眠りを浅くすることがあり、生活リズムの乱れにつながる可能性があります。

ストレスもおなかの状態と無関係ではありません。

強いストレスや睡眠不足が続くと、自律神経などを介して消化管の動きに影響し、便通が変化する場合があります。

男性の腸活では、「何を食べるか」だけではなく、「何時に食べ、どのように休んでいるか」まで見直すことが大切です。


男性が腸活で期待できること

腸活という言葉から、「痩せる」「肌がきれいになる」「免疫力が上がる」など、幅広い効果を想像する方もいるかもしれません。

しかし、特定の食品やサプリメントを摂るだけで、こうした変化が必ず起こるわけではありません。

まずは、便通や食生活を整え、健康的な生活習慣を作ることを腸活の基本として考えましょう。


お通じのリズムについて期待されること

毎日の排便回数には個人差があります。

排便困難、残便感、腹痛、排便にかかる時間などを含めて考える必要があります。

腸活でお通じを意識する場合は、まず次のような基本を整えてみましょう。

  • 朝食を抜かない
  • 食事時間を大きく乱さない
  • 水分不足にならないよう意識する
  • 野菜や豆類、海藻などを食べる
  • 便意を我慢しすぎない
  • 軽く体を動かす
  • 毎日の便の状態を確認する

朝食などをきっかけに胃や腸が刺激されることで、排便につながりやすくなる場合があります。

腸活は、毎日必ず同じ時刻に排便することを目標にするものではありません。

無理なく排便でき、強い残便感や腹痛がなく、自分にとって安定したリズムを作ることを意識しましょう。


体型・体調管理との関わり

腸内細菌は、食物繊維などを発酵する過程で、酢酸、酪酸、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸を作ります。

短鎖脂肪酸は、腸管上皮や代謝との関係から研究されている物質です。

そのため、腸内細菌と肥満や代謝との関係についても数多くの研究が行われています。

ただし、「善玉菌を増やせば痩せる」「オリゴ糖を摂れば体脂肪が減る」といった単純な関係ではありません。

体型を整えるためには、総摂取エネルギー、食事内容、運動、睡眠などのバランスが重要です。

男性の場合、筋肉をつけるために食事量やタンパク質を増やすこともありますが、それと同時に野菜や穀類を減らしすぎると、食事の多様性が失われる場合があります。

腸活はダイエット法として考えるより、体型や体調を管理する食生活の土台を整える方法として取り入れるほうが現実的です。


男性の腸活、何から始める?

腸活を始めようと思っても、急に毎日の献立をすべて変える必要はありません。

むしろ、最初から完璧を目指すと続かなくなります。

まずは「今の食事に何が足りていないか」という視点から考えてみましょう。


食事|善玉菌と「菌のエサ」を組み合わせる

腸内環境を意識した食事では、プロバイオティクスとプレバイオティクスという2つの考え方があります。

プロバイオティクスは、適切な量を摂取したときに健康上の利益をもたらす生きた微生物を指します。

食品では、一定の乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトなどが代表的です。

プレバイオティクスは、腸内細菌によって選択的に利用される食品成分で、一部の食物繊維やオリゴ糖などが該当します。

考え方

何を取り入れるか

食品・成分の例

プロバイオティクス

菌そのもの

一部のヨーグルト、乳酸菌・ビフィズス菌を含む食品

プレバイオティクス

菌に利用される成分

フラクトオリゴ糖、一部の食物繊維など

発酵食品

発酵を利用した食品

納豆、みそ、ヨーグルトなど

腸活の食事として、菌を含む食品と、オリゴ糖・食物繊維など菌のエサとなる成分を組み合わせることが有効です。

たとえば朝食なら、

納豆+大麦入りごはん+みそ汁

という組み合わせがあります。

コンビニなら、

ヨーグルト+バナナ+海藻サラダ

などを選ぶ方法もあります。

「男性向けの特別な腸活食品」を探すより、不足している植物性食品を1品足すことから始めるほうが続けやすいでしょう。

詳しくは「プレバイオティクスを含む食品一覧と効果的な摂り方」「プレバイオティクスとプロバイオティクスの違いを解説」も参考にしてください。


睡眠・運動・座りっぱなしを減らす工夫

デスクワークや車での移動が多い男性では、1日の大半を座って過ごすことがあります。

運動不足は便秘につながる要因のひとつでもあるため、腸活では体を動かす習慣も意識したいところです。

2024年に発表された身体活動とマイクロバイオームに関するシステマティックレビュー・メタ解析では、91研究を検討した結果、身体活動が多い人では短鎖脂肪酸を作る菌の割合が高い傾向が報告されています。

ただし、腸内細菌の多様性に対する効果は一貫しておらず、 運動すれば必ず腸内フローラが改善するという段階ではありません。

座りっぱなしと腸内細菌の関係についても、現在のところ十分な研究があるとはいえません。

そのため、腸内細菌だけを目的に無理な運動をする必要はありません。

まずは、

  • 1時間ほど座ったら一度立つ
  • 昼休みに10分程度歩く
  • エレベーターではなく階段を使う
  • 休日に20〜30分程度散歩する
  • 筋トレだけでなくウォーキングも組み合わせる

といった、生活の中で活動量を増やす工夫から始めるとよいでしょう。

睡眠も大切です。

深夜まで仕事をして、帰宅後に飲酒し、そのまま寝る生活が続いている場合は、腸活食品を追加する前に生活リズムを見直す価値があります。

食事・運動・睡眠をセットで整えることが、無理なく続けられる男性の腸活につながります。


見直したいのは「タンパク質に偏った食事」

男性の腸活で特に確認したいのが、タンパク質中心の食生活です。

タンパク質は筋肉、皮膚、酵素などを作るために必要な栄養素であり、減らせばよいものではありません。

問題になるのは、タンパク質を重視するあまり、野菜、穀類、豆類、果物などを極端に減らしてしまうことです。

腸内細菌は、食事から大腸へ届くさまざまな成分を利用しています。

そのため、腸活では「タンパク質を摂るか摂らないか」ではなく、タンパク質と菌のエサをバランスよく摂れているかを見ることが大切です。


筋トレ・プロテイン習慣と腸内環境

筋トレをしている男性にとって、肉、魚、卵、乳製品、プロテインなどは重要なタンパク質源です。

プロテインそのものが、一律に腸内環境を悪化させるわけではありません。

一方、タンパク質を多く摂る食生活については、大腸へ届いた一部のタンパク質が腸内細菌によって発酵されることが知られています。

2024年の研究でも、食事由来タンパク質が大腸へ届き、腸内細菌の発酵基質になることが説明されています。

タンパク質発酵では、分岐鎖脂肪酸やアンモニア、フェノール類など、糖質の発酵とは異なる代謝物も作られます。

ただし、「プロテインを飲めば悪玉菌が増える」と単純に断定することはできません。

腸内環境への影響は、タンパク質の量や種類だけでなく、食物繊維の摂取量や食事全体の構成にも左右されると考えられます。

筋トレ中でも、

鶏むね肉+白米だけ

ではなく、

鶏むね肉+大麦入りごはん+野菜+きのこ

のように組み合わせると、タンパク質と植物性食品を両方取り入れられます。

詳しくは「プロテインで腸内環境は悪化する?原因と改善法」も参考にしてください。


肉中心の食事で不足しがちな「菌のエサ」

焼き肉、ステーキ、鶏肉、卵などを積極的に食べていても、それだけでは腸内細菌が利用できる発酵性の食物繊維などを十分に摂れるとは限りません。

腸活で意識したい「菌のエサ」には、食物繊維や一部のオリゴ糖があります。

食物繊維を取り入れやすい食品には、

  • ごぼう
  • オクラ
  • きのこ
  • 海藻
  • 大麦
  • オートミール
  • 豆類
  • アボカド
  • いも類
  • 野菜や果物

などがあります。

ポイントは、肉をやめることではありません。

肉や魚などのタンパク質源に、植物性食品を足すことです。

たとえば、

「牛丼だけ」なら、海藻サラダやみそ汁を加える。

「焼き肉だけ」なら、野菜、きのこ、キムチなども組み合わせる。

「プロテインだけの朝食」なら、バナナやオートミールなどを追加する。

こうした小さな変更でも、食事の多様性を高められます。


食物繊維を増やすとおなかが張るという声

腸活を始めて野菜や食物繊維を一気に増やしたところ、「むしろガスが増えた」「おなかがパンパンになった」という人もいます。

これは、食物繊維の一部が大腸で腸内細菌によって発酵されるためです。

発酵によって短鎖脂肪酸などが作られる一方で、ガスも発生します。

そのため、普段ほとんど食物繊維を摂っていなかった人が急に大量摂取すると、おなかの張りやガスを感じる場合があります。

たとえば、いきなり1日3食を玄米へ変えるより、

白米に大麦を少量混ぜる

ことから始める。

野菜をほとんど食べていなかったなら、

夕食に小鉢を1つ増やす

ところから始める。

このように、腸活は「一気に変える」より少しずつ続けるほうが取り入れやすいと考えましょう。

なお、少量の食物繊維でも強い腹痛や膨満感、下痢などが出る場合は、IBSなど別の要因が関係していることもあります。

症状が続く場合は、自己流の腸活を続けず医療機関へ相談してください。


少量から取り入れる選択肢|高純度1-ケストース

毎日の食事から食物繊維を摂ることが基本ですが、忙しくて十分な食品を用意できない場合には、プレバイオティクス素材を補助的に利用する考え方もあります。

そのひとつとして研究されているのが、フラクトオリゴ糖の構成成分である1-ケストースです。

1-ケストースは、グルコース1分子とフルクトース2分子からなる3糖で、短鎖フラクトオリゴ糖の中でも短い構造を持っています。

健康な成人7人から得た便を用いた試験管内研究では、1-ケストースを加えた条件で、Bifidobacterium longumが対照群より有意に多かったことが報告されています。

また、健康な成人を対象とした近年の無作為化二重盲検試験では、1-ケストースとイヌリンを組み合わせた摂取によって、Bifidobacterium adolescentisやB. longumなどに変化がみられたと報告されていますが、反応には個人差があることも示されています。

ここで注意したいのは、これらの研究から「ケストースを摂れば男性の腸内環境が必ず整う」「便秘が治る」と断定できるわけではないことです。

また、高純度であるほど健康効果が高いという意味でもありません。

高純度1-ケストースを選ぶ考え方のひとつは、複数の糖質が混じった製品と比べて、自分が何の成分をどの程度摂っているのか確認しやすいことにあります。

オリゴ糖は発酵性があるため、一度に多く摂ると、おなかの張りやガス、軟便などにつながる場合があります。

製品に表示された目安を確認し、初めて取り入れる場合はおなかの状態を見ながら無理のない量で続けましょう。

詳しくは「フラクトオリゴ糖と腸内環境の関係」も参考にしてください。


まとめ|男性の腸活は「タンパク質より、菌のエサ」から

男性の腸活だからといって、女性とはまったく異なる特別な方法が必要なわけではありません。

大切なのは、自分の便を観察し、普段の食生活や運動、睡眠を振り返ることです。

男性では下痢型IBSがみられる場合もあり、年齢が上がるにつれて便秘に悩む男性も増えていきます。

そのため、「毎日便が出ているから大丈夫」と考えるのではなく、便の形や腹痛、残便感、おなかの張りなども確認しましょう。

男性の腸活では、次のようなポイントを意識すると取り組みやすくなります。

  • 外食でも野菜、海藻、きのこ、豆類を1品加える
  • ヨーグルトや納豆などの発酵食品を活用する
  • 食物繊維やオリゴ糖など「菌のエサ」も意識する
  • 筋トレ中でもタンパク質だけに偏らない
  • 食物繊維は急に大量摂取せず、少しずつ増やす
  • 睡眠を確保し、長時間座りっぱなしになる時間を減らす
  • 飲酒や夜遅い食事が続かないようにする

とくに筋トレや体型管理を意識している男性は、タンパク質の摂取量ばかりに目が向きやすくなります。

もちろん、タンパク質は体に欠かせない栄養素です。

しかし、腸内細菌のことまで考えるなら、タンパク質を増やすだけでなく、その横に「菌のエサ」を置くことも忘れないようにしましょう。

肉を減らすことが目的ではありません。

肉には野菜を、プロテインには果物や穀類を、外食には食物繊維を含む副菜を足すという考え方なら、普段の食生活を大きく変えずに始められます。

食事から十分に取り入れることが難しい場合には、1-ケストースなどのプレバイオティクス素材を補助的に利用する方法もありますが、特定の成分だけに頼らないことが大切です。

男性の腸活で優先したいのは、流行している食品を次々に試すことではありません。

自分の食事に何が足りないのかを確認し、毎日続けられる小さな改善を積み重ねることです。

まず今日の食事から、「タンパク質はあるけれど、菌のエサはあるだろうか」と一度確認してみてください。

その小さな見直しが、無理なく続けられる腸活の第一歩になります。

※本記事は、食品・栄養・腸内環境に関する一般的な情報提供を目的としています。

※特定の食品・成分による疾病の予防・治療、減量、体質改善などの効果を示すものではありません。

※便秘や下痢、腹痛などが長く続く場合や、血便、発熱、原因不明の体重減少などがある場合は、医療機関へご相談ください。

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